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上映作品:現代アートの映像祭

都築響一

ROADSIDE JAPAN(2010年)

構成・写真・文:都築 響一 映画監督:十川 利春 《ROADSIDE JAPAN》2010年、2時間37分(全23話)、カラー、サウンド*今回の上映のために特別に、都築響一氏の了承を得て、約36分(6話)に編集。1956年、東京都生まれ。編集者、写真家。1998年、『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(筑摩書房)で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。本作はいわばその動画版。ハイビジョン撮影機材を駆使した、正統派の文化ドキュメンタリー・プログラムを目指し、 “路傍の現代日本文化遺産”を記録。

加藤立

I am a museum(2019年)

16分50秒、カラー、サウンド1979年、愛知県生まれ。広島市現代美術館が所蔵する、横尾忠則による《芸術と平和》の複製画を作家自身が背負い、「美術館」の役を演じながら、比治山公園周辺をさまようパフォーマンス映像。偶然その場に居合わせた「鑑賞者」との筋書きのない会話が記録されている。

伊藤高志

SPACY(1980-81年)

10分、モノクロ&カラー、サウンド 1956年、福岡県生まれ。九州芸術工科大学工学部画像設計学科で松本俊夫(1932-2017)に師事し、実験映画の制作を始める。約700枚の連続するスチル写真を再撮影する手法で制作された本作は、伊藤が在学中の1981年に発表し、国内外の映画祭で高く評価された。

ヨアンナ・ライコフスカ

Avant-garde for insects(2016-2022年)

1968年ポーランド生まれ。ワルシャワ/ロンドンを拠点に活動。“Avant-garde for Insects”2016-2022作家の庭に生息する野生のツツハナバチが主役の作品。ハチたちが飛び回るのは人間がいなくなった世界だが、部屋の隅々に飾られた美術作品がその奇妙な偉業を物語る。

ひらのりょう

パラダイス(2014年)

1988年生まれ。FOGHORN所属。産み出す作品はポップでディープでビザール。 文化人類学やフォークロアからサブカルチャーまで、自らの貪欲な触覚の導くままに モチーフを定め作品化を続ける。その発表形態もアニメーション、イラスト、マンガ、紙芝居、VJ、音楽、舞台と多岐に渡り周囲を混乱させるが、 その視点は常に身近な生活に根ざしており、ロマンスや人外のものが好物。 パラダイス(2014) 宇宙に浮かぶ墓地でバイトをしている男の元に現れたのは、宇宙を漂う一つの「人間の歯」。 それと、切られた自分の鼻を探している熊だった。自分の鼻が見つからない事に失望した熊は男を人質に宇宙へと旅立った。 声の出演:渋川清彦/椎名琴音

SWOON

Cicada(2019年)

繊細な切り紙作品で知られるSWOON(スウーン)は、ブルックリンを拠点とし、男性中心のストリートアート界で最初に幅広く認められた女性作家。彼女の作品は美を崇高なものとして扱いながらも、対象の暗部を探っていくような真摯さを持ち、おとぎ話や神話の断片、神聖な女性のモチーフなどが織り込まれている。今回は自身が制作した切り紙を使用し、人間と自然や、生命の誕生と死、人が抱えるトラウマやそこからの解放をテーマに、詩的で美しい映像(フィルムアニメーション)作品を展示。

ブルース・コナー

Crossroads(1967年)

1933年〜2008年。アメリカ・カンザス州生まれ。既製品や自然物、廃品などを用いた60年代のアッサンブラージュやコラージュ作品で知られる。既存の映像フィルムをつなぎ合わせ、新しい映像作品を作るという技法は、今日MTVなどで私たちが目にする画像の元となったと言われている。本展では、1946年から1958年にかけてアメリカがビキニ環礁で行った23回の核実験のうちの最初の2つの核実験「クロスロード作戦」から、1946年7月25日の世界初の水面下での核実験「ベーカー・デイ」の記録映像を題材としている。ニューヨーク近代美術館、グッゲンハイム美術館、ポンピドーセンターなど、世界屈指のメジャー美術館が作品をコレクションしている。

諫山元貴

遮光器土偶(2012)

1987 年大分県生まれ、現在広島県在住。2009 年京都造形芸術大学美術工芸学科卒業、2011 年広島市立大学大学院芸術学研究科博士前期課程修了。2014 年吉野石膏美術振興財団在外研修助成にてベルリンに滞在、Studio Haegue Yang のレジデンスプログラムに参加。「崩壊と複製」をキーワードに、制御できない出来事によって物質が変化していく様子や瞬間を、映像や立体で表現する。諫山の映像シリーズは既製品を複製し、それが水中で崩れていく様子を定点撮影したものであり、速度編集無く無音の状態で再生される。 主な展覧会に、MOMAS コレクションⅢ期 (特別出品)」(埼玉県立近代美術館、2023)、「高松コンテンポラリーアート・アニュアル vol.11」(高松市美術館、香川、2022)、「個展BankART Under 35 2021」(BankART KAIKO、横浜)、「Sights and Sounds:Japan」(ユダヤ博物館、ニューヨーク、2016)、「Trans-Plex」(關渡美術館、台北、2011)など。主な作品収蔵先に広島市現代美術館、ポモナ大学付属ベントン美術館、高松市美術館などがある。

コレクティフ_ファクト

百島、またはある島の可能性(2012年)

Annelore Schneider(アナロイ・シュナイダー/1979年スイス、ヌーシャテル生まれ)とClaude Piguet(クロード・ピゲ/1977年スイス、ヌーシャテル生まれ)の二人組のユニット。ジュネーブとロンドンに在住。CGや写真・映像技術を巧みに扱う彼らは、都市風景からネオンや看板などのビジュアル要素のみを抜き出し、それらで構成された風景の中を徘徊していく映像作品でデビューし、資本主義構造が生み出した現代社会への懐疑を静かに、鮮やかに表現する。2011年に映像作品《Ways of Worldmaking》でSwiss Art Award 2011を受賞。その映像は、社会の理想を謳うある男の演説シーンを撮ったものだが、実は男の台詞は複数のハリウッド映画の予告編から抜き出してつなぎ合わされたもの。主な展覧会に「WORLDMAKING」(Centred’art contemporain/ジュネーブ/スイス/2011)、「Ways of Worldmaking」(Galerie Mitterrand + Sanz,/チューリヒ/スイス/2011)、「CREEKSIDE OPEN 2011」(ロンドン/イギリス)などがある。